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ホーム 物語編2 やっぱりひたすら球拾いとランニングと素振りばっかりかよ!仕方ない?/物語2第6話

やっぱりひたすら球拾いとランニングと素振りばっかりかよ!仕方ない?/物語2第6話

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前回第5話。

サッカーで海外遠征までしておいて、
中学ではサッカーではなくテニスをするのはもったいないと、
レイジを説得しようとするケンイチ。

それに対して、
サッカー部とテニス部と両方入ればいいと言うレイジだが、
部活は1つしか入れないと知って愕然とするのだった。

もうそれなら、
テニス部に入るしかないと決意するレイジだが・・・。


それでは、『トップ1%プレイヤーへの道!』第6話、
『やっぱりひたすら球拾いとランニングと素振りばっかりかよ!』
をどうぞ!



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


知らなかった。
部活には1つしか入れないだなんて。

聞く所によると、アメリカの学校では、
複数のクラブに所属できたりもするそうだ。

ここは日本だからそんなこと言ってもしょうがないし、
1つしか入れないのが常識みたいだけど、
これって本当に意味のある常識?


でも、中学1年生が理屈をどうこう言っても、
現実は何1つ変わらない。

1つしか入れないのなら、テニス部に入るしかない。

とにかく、ボクはテニスをやってみたいのだ。
テニスをやるには学校の部活しか選択肢がない。


「お〜い!ケンイチ!練習始まるぞ〜!」

向こうの方から大きい声がして、ケンイチが振り返った。
サッカー部の同級生のようだった。

「オッケ〜!すぐ行く!」

ケンイチは同じように大きな声で返事すると、
こちらに向き直った。

「レイジ、頼む、一生のお願いだから、サッカー部に入ってくれ!
 オレとタカシと3人で全国目指そう!なっ!じゃあ頼んだぞ!」

そう言い放つとボールを小脇に抱えて、
ケンイチは、あっという間にゴール前まですっ飛んでいった。


まあ、仕方がない。
ケンイチにはいつでも会えるし、今度会った時にきちんと説明しよう。

それにしても、相変わらず人の心を読むのがうまいヤツだ。
ボクはひと言もテニス部に入るなんて言ってないというのに。


ケンイチは、PK戦やドリブラーとの1対1にめっぽう強いキーパーだ。

ただし、コーナーキックやミドルシュートを苦手にしているので、
そこが代表に選ばれなかった理由かもしれないが・・・。


ヤツの話では、PK戦や1対1では、
どちらに蹴ってくるのか、どちらに抜こうとしているのかが、
相手を見ているだけでなんとなくわかってくるのだという。

この予測能力は超能力に近いのかもしれない。
弱者が厳しい環境で生き抜くために持つべくして持った能力だ。


3人兄弟の末っ子のケンイチは根っからの小心者だが、
2人の兄は生まれつき凶暴でキレやすく、
機嫌を損ねた時はいつも、ケンイチは痛い目にあわざるを得なかった。

そのため、ヤツは2人の兄の顔色をいつもうかがいながら、
怒らせないように機嫌を取りつつ常に先回りして行動してきたのだ。


幼い頃からの自分を守るための知恵と努力の日々が、
ケンイチを予測能力の超能力者のように仕立て上げたのかもしれない。

その超能力は、ゴールキーパーで最も必要とされる能力でもある。
ヤツはこれからも最大限それを活かし続けていくだろう。


そして、このことが、ボクにとって、のちに、
テニスにおけるアンティシペーションのヒントになったことは、
言うまでもない。

そして、また、相手のアンティシペーションを潰すヒントも、
サッカーの経験から得られたものなのだ。



ボクは急いで家路につきながら、テニス部に入る決意を固めた。

そうだ!テニスラケットを買わなくちゃ!
それにテニスシューズも必要だ!


一旦家に帰ると、ボクは着替えて、お袋に金をもらって、
さっそく大きなスポーツショップへと向かった。

これから始める初心者なのだから、
一番安くて手頃なラケットとシューズでいいだろう。


そう思ってはいたものの、いざ色んなテニスラケットを見ていると、
木製で安い一般的なものではなく、
新素材のデザイン的にカッコイイものに目を奪われてしまった。

そうなるともうそれしか目に入らなくなってしまって、
ちょっと高いけど、これ1本で3年生までやれば、
あとからまたうまくなってから買い替えるより結果的に安くつくと、
自分で自分を納得させた。


テニスシューズも同じだ。

どうしても安いシューズは、
デザイン的にもいまいちだし、履いてみてもフィット感も悪いし、
これは絶対足に悪影響を及ぼすに違いない、
疲れがひどかったりケガをしたりしたら病院代の方が逆に高くつく、
と自分で勝手に思い込んで、
ちょっと高めのカッコイイと思うデザインのものを選んだ。


おかげで、母親に多めにもらってきていたお金が全部なくなってしまった。

でも、使い過ぎで怒られることの心配よりも、
ギリギリセーフで足りたことの方にホッとした。


サッカークラブ時代は、自分のものはシューズだけだったから、
みんなシューズにはお金をかけていた。

海外遠征した時に、フランス・パリのスポーツショップで、
アディダスやプーマの高価な本革のシューズで、しかも、
日本では売っていないデザイン性の高いものにみんなが群がった。


そして、お土産を買ってくるようにと渡されていた小遣いを、
みんなそれぞれ勝手に高価なサッカーシューズにつぎ込んだ。

一目惚れしてドキドキワクワクして買ったシューズだと、
その後の手入れも全然違う。

もう宝物のように毎日眺めてはピカピカに磨くものだ。


恐る恐る家に帰って、値段を報告すると、
最初から高すぎると怒られたが、
何とかごまかすことができて、雷は落とされずに済んだ。


これで何もかも準備OKだ。

ウェアは体操服でいいだろう。
さっそく明日からテニス部に入ろう。

その日の夜は、学校で新しく始まる授業のことよりも、
テニス部のことばかり考えて、
期待と不安でドキドキしてなかなか寝つけなかった。


やっと念願のテニスができる!と喜びも湧いてくるが、
それと同時に、悪名高い『ブカツ』の悪い噂も思い出してしまう。

最上級生になるまで、上が引退するまで練習させてくれないとか、
シゴキとかイジメとか、・・・。

気づいたらボクは深い眠りに入っていた。
いろいろあった1日だったので思った以上に疲れていたのだ。


朝になった。
ボクはかばんの他にラケットとシューズの袋を下げて学校に向かった。

放課後の時間になるまでボクはずっとそわそわしていて、
落ち着かないでいた。

やっとテニスができるのだ。

いや、最初は素振りぐらいかな、
いやいやちょっとぐらいはいくらなんでも打たせてくれるだろう。


やっと終わった。
ボクは手早く荷物をまとめると部室の並んでいる所に足早に向かった。

近くまで行くと、並んでいる部室の前に、
ラケットを持って立っている3年生らしき上級生が3人いる。


ボクは思いきって後ろから話しかけてみた。

「こんにちは!カムイ・レイジと申します!
 テニス部に入りたいんで、よろしくお願いします!」


急に大きな声を出したのでビックリしたように振り向く3人。

そして、ボクを下から上まで真顔でじろじろ見ると、
新しいラケットとシューズを持っていることに気づいた様子。


「お〜っと、新1年か、気合入ってるねえ。
 おいおい、こいつ新しいラケットとシューズ持ってきてるぜ。」

一番手前にいたガッチリした体格のコワモテが、
ニヤニヤ笑いながら後ろの2人に話しかける。


すると、後ろの背の高い方のラクダ顔が、
こちらもニヤニヤしながら、

「あ〜あ、かわいそうに!
 そんなにいいラケット最初から持ってきても、
 どうせ打つのは、空・気・だ・け・だしな!
 それにシューズだってランニングシューズの方が良かったのにな!」

ガハハハハッ、と一斉に大笑いする3人。


ラケットは空気を打って、シューズはランニングシューズ?

やっぱり1年生はしばらくは、
球拾いと素振りとランニングばっかりなのか?

ボクは、何とも言えない不安な気持ちで一杯になった。



                          (第7話につづく)

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この中学のテニス部では、
1年生は果たしてボールを打たせてもらえるのだろうか?

次回『トップ1%プレイヤーへの道』第7話は、
『なんで同じテニスなのに硬式と軟式でこうも違うんだ?!』
の予定です。


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それでは、今日第6話のワンポイント・フィロソフィです。

フィロソフィ(philosophy)とは哲学のことです。
ここでは、哲学を、自分自身の経験などから得られた基本的な考え、
という意味で使っています。


『 テニスシューズは
   安過ぎず高過ぎず足にピッタリフィットして
    デザイン的に気に入ったものを選ぼう   』



まだ初心者だからといって、
安いテニスシューズを履く人がいるが、
絶対にやめた方がいい。

シューズは、ボクの感覚では、
ある程度の価格以下になると、
スポーツシューズとして最低限必要とされる機能まで削って、
コストカットしていると思われるものが多い。


例えば、衝撃吸収性の機能を削ったシューズでテニスをやると、
例え初心者とはいっても、
テニスは激しいストップ&ダッシュの繰り返しなので、
足首やひざ・腰にまで悪影響を及ぼしてしまう。

少々高価なシューズを買ったとしても、
治療代や肉体的精神的苦痛や上達の遅れなどのリスクがなければ、
かなり安いと言える。


それとは逆に、ある程度の価格以上になると、
素材を高価なものにしたり付加価値をつけたりして、
機能的には変わらないけど価格は高いと思えるものが多くなる。

もちろん、お金に余裕があって、デザインが気に入れば、
どんなに高くても買うのは自由だが、
そうでなければ、
コストパフォーマンスの高いモノを見極めるようにしたほうがいい。


それから、必ず試し履きをしてみて、
自分の足にピッタリくるものを探す。

長過ぎず、短過ぎず、広過ぎず、狭過ぎず、固過ぎず、軟らか過ぎずで、
理想的なのは、
靴下を履いているかのように足を覆うように包んでくれるものだ。


履いている内にゆるくなってくるから、
最初はきつめを選ぶべきという人もいるが、
ボクは最初からピッタリのものを選ぶべきだと思う。

そして、試し履きの時は、
もちろん実際にテニスをする時に履く靴下で、
面倒がらずにヒモを全部通して、
軽くフットワークを試してみる。

もし、練習帰りで汚れきった靴下をはいている場合は、
洗濯したての清潔な靴下を持参して履き替えた方がいい。


最後に、これも大事なことだが、
デザイン的に気に入ったものを選ぶべきだ。

機能性を犠牲にしてまでデザインにこだわるのは、
テニスで勝つ方法を模索する者にとっては本末転倒だが、
デザイン性を全く無視すると、後々得られるべき好影響を逃してしまう。

気に入ったものであれば、
宝物のように大事にするから、
メンテナンスもきちんとやることになり、結果的に長持ちするし、
気に入ったものを身につけていることで、
それだけで、ただでさえ楽しいテニスがもっと楽しく感じられるはずで、
楽しければ、より早く上達し、より早く強くなる。


これは恋人と同じかもしれない。

人間同士なので相性が何よりも大事だが、
外見もある程度は気に入っている人を選ぶべき。

外見も気に入った人であれば、
相手をより大事にするだろうから、
細かいことにも気を使うので、関係が長続きするし、
外見も気に入った人とは、
ただでさえ楽しい恋愛がより楽しく感じられて、
より仲良くなれるはず。


そして、テニスというスポーツは、
数少ない、自分の個性を自由に表現できるスポーツの1つ、
ということも忘れてはいけない。

技術も戦術も戦略も、
それらの統合であるプレースタイルも、
そして、ファッションも、
自分の個性を表現する1つの手段でもあるのだ。



 
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