ボクは、呆然と立ち尽くした。
あると思っていたテニスコートが見当たらないのだ。
あるのは狭いグラウンド。
サッカーのグラウンドだ。
グラウンドの左右にサッカーゴールが置いてある。
そして、その奥には、
バレーコートが2面と、バスケットゴールが2面。
グラウンドの右には体育館。
左にはプール。
どこにもテニスコートは見当たらない。
「そうだ!校舎の陰に隠れた所にあるかもしれない!」
そう思ったボクは校舎から校舎へと見て回る。
だが、やはり、テニスコートらしきものはまったく見当たらない。
「この中学にはテニスコートが無いじゃないか!」
「ということは、テニス部も無いってことなのか!」
ボクは絶望感に襲われた。
今日は中学の入学式。
ボクは初めてこの学校に来たのだ。
中学に入ったらテニスをすると決めていた。
テレビで見る外国のテニス選手がカッコ良く見えたのが、
最初のきっかけだった。
ラケット1本で世界中を渡り歩く。
どこに行っても1対1の決闘だ。
勝つか負けるか2つに1つ。
そして、強い者のみが生き残っていく。
まさに現代のサムライじゃないか!
とにかく、ラケットでボールを打つ姿が何よりカッコいい。
ボクもそんな技術を身につけてみたい。
でも、勝つには、
技術だけではなく戦術や戦略も必要そうだ。
将棋や碁のように頭も使わなくちゃいけない。
その点もゲームとして魅力的に見える所だ。
体力も相当必要そうだ。
あんなに思いっきりラケットを振り回して、
全力でダッシュを繰り返しているというのに、
とにかく試合時間が長い。
延々とやっている。
親父の話では、2ゲーム差がつかないと、
1セットが終わらないという形式なのだという。
普通は6ゲームとれればセットがとれるので、
1セットで6−3とかのスコアになるらしいけど、
6ー5じゃダメらしい。
7−5にしないとセットがとれないのだ。
6ー6になったら、2ゲーム差がつくまで、とことんやるのだ。
中には101−99なんてのもあるらしい。
そして、3セットマッチと5セットマッチがあって、
それぞれ、2セット、あるいは、3セット先にとることで、
やっと勝敗が決するというわけだ。
これは、テニスという競技が、
その時点で本当に強い方が勝つというコンセプトの基に、
完全決着方式をとっているからだ。
でも、5セットマッチでこんなロングゲームだと、
いつになったら終わるのかわからないじゃないか!
ということで、近年では、試合時間短縮のため、
6ー6で12ポイントタイブレイクになる形式がほとんどで、
ロングゲームを採用しているのは、
国別対抗戦のデビスカップや、
4大大会のファイナルセットぐらいになっているとのことだ。
どちらにしても、相当ハードだ。
タフじゃないと勝ち抜けないんだ、たぶん。
それから、精神的にも大変そうだ。
親父の話では、心のコントロールが難しいらしい。
要するに、とてもやりがいのありそうなスポーツって感じなのだ。
上手くなれば、きっとカッコ良く見えるだろう。
頑張って努力して強くなれば、
きっと人間的にも成長できるに違いない。
ただ、選手同士の肉体的接触がないのは、
ちょっと物足りないかもしれない。
やっぱりスポーツと言えば、
体のぶつかり合いも醍醐味の1つだ。
そういう意味では、格闘技的要素が少ない感じだ。
でも、それもいいかもしれない。
その分、変にケガすることも少ないだろうし。
なんて感じで、やる前からボクはすっかりテニスの虜になっていた。
中学からはテニスがしたい。
そう決めていた。
テニスをやるならテニスクラブだ。
そんな時、ちょうどいいタイミングで、
近くにテニスクラブができたことを知った。
近くといっても歩いて行ける距離じゃなくて、
自転車で行ってやっと行ける位の近さだけど。
それでなぜ知ったのかというと、
新聞折込チラシが入っていたのだ。
でも、そのチラシを見て、
ボクは目ん玉が飛び出るほどビックリしてしまった。
(第2話につづく)
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目ん玉が飛び出るほどビックリしたって、一体何のこと?
果たしてボクは、中学からは、
このテニスクラブに入って、テニスを始めることができるのか?
それから、テニスコートの無いこの中学にテニス部はあるのか?
次回『トップ1%プレイヤーへの道』第2話、
『3歳からテニスをさせといてくれ!』
を乞うご期待ください!
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それでは、今日のワンポイント・フィロソフィです。
フィロソフィ(philosophy)とは哲学のことです。
ここでは、哲学を、自分自身の経験などから得られた基本的な考え、
という意味で使っています。
『 テニスという競技は
その時点で本当に強い方が勝つというコンセプトの基に
完全決着方式をとっている 』
デュースになると次の1ポイントをファイナルポイントとして、
そのゲームを終わらせてしまう、
ノーアドバンテージルール、
正確には、ノーアドバンテージ・スコアリング方式、
いわゆる、ノーアドは、
ボクは『不正競争ルール』という位置づけをしています。
5ー5や3ー3になると次の1ゲームをファイナルゲームとして、
6−5や4−3で試合を終わらせてしまう、
ノータイブレイクルール、
正確には、ノータイブレイク先取方式、
いわゆる、ノータイについても、
ボクは同じように『不正競争ルール』という位置づけです。
この2つは、
『その時点で本当に強い方が勝つ』
というテニスのコンセプトを著しく損なうものであり、
完全決着方式と言えるものではありません。
不正競争ルールでの勝者としての価値は、
あまり高くないものとなってしまいます。
しかも、そのルールからは、
真の強者(つわもの)が生まれにくくなってしまいます。
そうなると、不正競争ルールを採用する大会は、
その大会自体の社会的価値を向上させるという点においても、
強い選手を育成するという点においても、
劣ったものとなってしまうという事です。
つまり、そのようなルールの採用は、
その大会自体の価値を著しく落とす事になる、ということなのです。
テニスというスポーツを心底楽しむためにも、
それがたとえトッププロのトーナメントではなくとも、
中学生や高校生の末端の大会だとしても、
ボクは完全決着方式を尊重するべきだと思います。
もし、あなたが、
真の強者(つわもの)を生み出したいと考えている方ならば、
厳しく、でも、公正な競争環境と、
勝者を惜しみなく賞賛するシステムの両方を、
構築していく努力をどうか怠らないでください。
あなたのその努力こそが、日本でのテニスの地位を向上させるはずだと、
ボクは信じています。
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