ボールが逆回転するから、ボールのスピードが遅いんだ。
ふわ〜って感じで飛んでいくだろ、フリスビーみたいに。
だから、相手コートにバウンドするまでの滞空時間が長い。」
「それで?」
「滞空時間が長いから、
その間に、よりネットに近く詰めることが出来る。
しかも、フラット系のゆるい球と比べて、
同じ遅さだとしても、
その球が蓄えているエネルギーの大きさが違う。」
「エネルギー?」
「スライスの球は逆回転しながら飛んでるだろ。
回転している分エネルギーをたくさん蓄えてるんだ。
だから、バウンドした時に、そのエネルギーを放出するから、
その結果、フラット系のゆるい球に比べて、より低く滑って伸びる。」
「あれは打ち返しにくいよね。」
「そう。低く滑って、しかも、伸びる。
低く滑ると、パスしにくいんだ。
打点が低いと、どうしても、
ボールを下から持ち上げにくくなって、
トップスピンが打ちにくくなる。
そして、下から打ち上げたボールだから、浮きやすい。
浮きやすいと、ボレーで叩かれやすくなる。
叩かれやすくなるとポイントを失いやすくなる。」
「うん。」
「しかも、打点が低いと、
パッシングショットで角度をつけにくくなるんだ。
打点が高ければ、
アングルショットでも、
直線的に上から打ち込むことができたりするからね。」
「トップスピンでアプローチしたら、
高く跳ねるよね。伸びるけど。」
「そう。高く跳ねるボールは、反対に、
ボールを上から打ち下ろしやすい。
ボールを上から打ち込めれば、
角度もつけやすいし、
相手にローボレーもさせやすい。」
「だから、アプローチショットは、
スライスで打って前に出ることが多いのね。
それはわかったけど、話を元に戻してよ。
アキラに指示した3つ目の戦術は、
相手のバックに打って前に出ることだったよね。」
「そう。
今まではチャンスボールが来たら強打してたけど、
強打せずに、
相手のバックにアプローチショットを打って、
ネットに出るように指示したんだ。」
「で、そのあとは?」
「ない。」
「えっ!何も指示してないの?」
(つづく)
| < 前 | 次 > |
|---|





