サービスゲームの最初のポイントで、
ファーストサーブでセカンドサービスを打つ戦術。」
「えっ?サーブの1本目にいきなりセカンドサービス?」
「そう、いきなり1球目をただ入れるだけのサーブを打つ。」
「そんなんで勝てるの?
そんなことして一体どんな意味があるって言うのよ!」
「それはね、まず、
サービスゲームの最初のポイントだから、
まだ相手は目が慣れていないんだ。
そこにいきなり、ファーストサービスなのに、
セカンドサーブが入ってくる。
ちょっと拍子抜けして、うまくいけば相手はミスる。
現にタクヤはミスった。
それに、最低でも相手に打ち込まれることはない。」
「何で打ち込まれないってわかるの?」
「普通はだよ、相手のファーストサーブは速い球がくるから、
ちょっと下がってとにかくしっかり返そうって感じで構える。
そして、それがフォルトになって、
相手のセカンドサービスになったら、
たいていは、ちょっと前につめて、心の中では、
『ダブれダブれ、ダブったらラッキーだ。
ヒョロイ球が来たら打ち込んでやる! 』
ってな感じで、心理的に完全に優位に立っているわけだよ。
能動的で攻撃的になってるわけ。」
「それで」
「ところが、いきなりファーストでヒョロイ球が来ても、
とにかくしっかり返すだけとしか考えていないから、
打ち込めなくて、とりあえず返しちゃう。
心理的にも受け身になってるし守備的になってるからね。」
「なるほど。」
「それで、相手があきれてつぶやく。
『普通、ファーストサービスはファーストサーブだろ』ってね。
つまり、『普通ファーストだろ』だから、
『普通1番だろ』戦術。1番てのはファーストって意味。」
「・・・。」
「そもそも最初のサービスゲームは、
まだ自分のサーブの100%の力は出せないんだ。
特に最初のゲームのサーブはね。
だから、最初から無理矢理100%の力で打っちゃっても、
なかなか入んないし、ダブルフォルトのリスクもある。」
「でも、試合前の練習でウォームアップできてるんじゃない?」
「いや、いくら試合前の練習でサーブが絶好調でも、
いざ本番の試合となると全然違うもんなんだ。
雰囲気は違うし緊張感も違う。
それで、トスに勝ったらリターンを選ぶ、
という戦略をとるビックサーバーのトッププロもいるんだ。」
「最初のゲームはリターンで体を温めて、
同時に本番の試合の雰囲気や緊張感に慣れてから、
自分のサービスゲームに臨むってわけね。」
「そう。その方が確実にサービスキープできるという考え方。
つまり、いきなり試合の最初のサービスゲームは、
ブレイクされやすいということなんだ。」
「なるほどね。」
「それで、そういうこともあって、
最初のポイントはいきなりの入れるだけのセカンドサーブで、
本番の試合の雰囲気や緊張感の中でのサービスに体を慣らした上で、
セカンドサーブを打ち込まれたりダブルフォルトしたりといった、
リスクを無くすことも出来るというわけなんだ。」
「相手に対してだけ有効な戦術ではなくて、
自分にとっても有効な戦術なんだってことね。」
「その通り。それから、・・・」
(つづく)
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