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ホーム 物語編1 戦術に集中して戦術をこなせ!/物語1第3話

戦術に集中して戦術をこなせ!/物語1第3話

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試合が始まった。
1セットマッチだ。

アキラのサーブから始まったゲームは、
あっさりアキラがとった。

タクヤはいつもと違う雰囲気を感じ取ってはいた。
しかし、それは気のせいだとばかりに、
自分のプレーに集中しようとしていた。

接戦になった。

しかし、タクヤはまだ落ち着いていた。
格下とやっても接戦になることは珍しいことではない。
どちらにしろ勝つのはオレだ。
タクヤはそう思っていた。


アキラは集中していた。
ポイントをとられても、
下を向いたままブツブツ言いながら歩いて、
次のポイントに集中していた。

自分のやるべきことを自分に言い聞かせているようだった。

アキラがゲームをとってリードするたびに、タクヤに焦りが出てきた。
焦りがミスを呼び、ミスがさらに焦りを呼ぶ。
タクヤが悪循環に陥ってしまうと、アキラの戦術の有効性は増す。

大きくリードしたアキラだが、
終盤に自滅して逆転される危険性がないとは言えない。

いわゆる勝ちビビリというヤツだ。

しかし、それはいらぬ心配だったようだ。
もう、タクヤには余力が残っていなかったのだ。
自滅したのはタクヤの方だった。


あっさりと試合は終わった。
アキラの完勝だった。

アキラは興奮していた。
あふれる喜びを必死で抑えようとしていたが、
どうしてもこぼれてしまっていた。


この結果に一番驚いたのは、
タクヤでもなくリョウでもなくユミでもなかった。
もちろんボクでもない。 

勝った本人であるアキラが一番驚いていた。

「おいおい、ほんとに勝っちゃったよ。」
という感じの顔だ。


そりゃそうだ。
勝とう勝とうとしたのではなく、
戦術に集中して戦術をこなしただけだ。
その結果勝てたということだからだ。


一方、タクヤの狼狽は普通ではなかった。
顔が不自然にこわばり、
目を伏せたまま視線を上げることが出来ない。

頭からタオルをかぶってベンチに座り込んで、
がっくりと肩を落としている。

そりゃそうだ。
負けるはずのない相手に負けてしまったのだから。

誰も話しかけられない状態だ。
しかし、カレに慰めの言葉などいらない。

この屈辱を骨の髄まで味わうのだ。
それが、これからのエネルギーになる。
これから強くなるためのパワーになる。

負けて初めて、
バカにされて初めて、
見下されて初めて、
軽く扱われて初めて、
人は自分の誇りを奪われたことに気づく。

プライドを失ったことに気づく。

強くなければ自分の誇りは守れないのだ。


                              (つづく)

 
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